兵庫県多可町を拠点とする、50余年の歴史がある物流会社、株式会社新興商運のコーポレートサイト刷新を行いました。従来の運送に加えて、自社倉庫を取得し保管機能も併せ持ったタイミングで、WEBでの集客を強化していくきっかけのプロジェクトとなりました。
やや属人的になっていた案件獲得フローを、同社へ新たに加入したWEB担当メンバーとともに可視化し、カスタマージャーニーマップにおいてこのWEBサイトにどんな働きをしてほしいか、これまでの成功体験をもとに丁寧に設計していきました。
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20代から代表を務める現社長のリーダーシップが、強い牽引力であり会社の成長における原動力となっている企業であるため、その情熱やビジョンをしっかり伝えたいと思う一方で、不要にトップダウンな企業だと誤解をされないことと、同時に顧客ベネフィットがしっかり理解できること、これらを損なわないような情報設計に努めました。
”一応存在はしているホームページ”だった旧サイトには、ごく基本的な会社情報のみが掲載されているのみで、新たな問い合わせに一役買っているというよりは、人から紹介を受けた時に、問い合わせる前に一応見ておくような位置づけになってしまっている状態でした。
運送会社として50余年、新たに自社の倉庫を取得、保有し、「保管」機能も持ち合わせた”物流の総合企業”としての新たな門出のタイミングで、WEBからの新規案件獲得もできるようになっていきたい、という相談を受けました。
これまでは紹介やクロスセルが中心だったものを、新たにWEB担当を配置し、WEBマーケに注力していくことに伴った、コーポレートサイトのリニューアルとなりました。
紹介からの案件獲得と、最初の接点がWEBでの案件獲得とでは、前提条件や必要な予備情報など、コミュニケーションがかなり異なることの理解から始め、”他社ではなくうちを選んでくれるお客さんの決め手”ってなんだろうと、改めて客観的に強み、差別化要素を洗い出しました。
いくつかのベネフィットをピックアップしながらも、結局は決め手となるものは属人的な要素かもしれないという結論に至ったことで、「顧客満足度と社員満足度の両立」という軸で情報設計を行いました。
カスタマージャーニーマップにおいて、荷主=クライアントが新たな発注先を探す背景には、キャパオーバーや急ぎの対応など、イレギュラーな要素が多いと考えられ、じっくり各社を比較するよりも、安心感を信頼感をなんとなくでも感じられた会社へ問い合わせてみる傾向にあると仮説立てました。
会社がいくらそれらしいことを言っても、結局は現場で接するドライバーの対応や心遣いこそが、そのあとのリピート率の鍵を握ることが多いため、社員の働き甲斐や満足度を大事にしている会社ならその点を期待できるだろう、ということです。
明確で客観的な評価指標や、社員が主体となってルールを決める組織カルチャーのある同社にとって、これはたしかに強みと言えそうだと。
案件獲得においてこのWEBサイトにはどんな働きを期待するか、仮説立てたカスタマージャーニーマップに則って、ディスクリプションやファーストビュー周辺ではベネフィットを、社員満足度や会社の思いなどソフトな要素も後ろ倒ししすぎずに伝えるというバランス感で構成されています。
代表の言葉の温度感そのままに関西弁の原文ままテキスト部分も用いながら、暑苦しい印象になりすぎないように、ややスタイリッシュ寄りのテイストでサイト全体は整えることにしました。
使用写真はすべてクライアントの提供ですが、企業のキャラクターがよく現れたものと、真剣な表情で凛々しさを感じるものとを使い分けています。