山形県で創業50余年の製本、印刷事業、その後都内でデジタルマーケティングやAmazon運用支援を展開するWEBコンサル会社の、社内ベンチャーとして、さらにEC事業者への支援の裾野を広げるべく企画した、プラットフォームサービスの立ち上げフェーズでトータル伴走支援を行いました。
プロダクトオーナーの持っていたビジネスアイデアに対して、供給側、ユーザー側の両ターゲティング、カスタマージャーニーマップ、事業計画、コンセプト、バリューの策定、ネーミング等の上流工程から、UX設計、要件定義、UI、ビジュアルデザイン、エンジニアリングの統括に至る全ての開発フェーズ、獲得戦略や広告施策、チームビルディングなどの運用フェーズまで、立ち上げから運用開始までのあらゆるフェーズをトータルで支援をしました。
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既存のAmazon運用コンサルだけでは、支援できない事業者がいるーーー。コンサルをお願いする予算がない、または適切な予算が分からない、広告費の賢い使い方が分からない、試しにやってみたけどダメだったから諦めた、こうしたECへのトライ初期での躓きが多いことが分かっている中で、彼らに対してどんな一歩目の背中を押せたらいいのか。
1度は諦めかけたEC事業や、新商品リリース時の勢いに、低リスクでトライできるプラットフォームを提供することで、日の目を見ない名品を支援することをコンセプトとしました。ユーザーは隠れた良い商品を応援購入できる、その”門出”を創出していくサービスとして、「カドデイ」と名付けました。
アメリカをはじめとする海外Amazon市場周辺でへメジャーである「リベート」という仕組みを、国内市場でも応用したビジネスを展開できないか。クライアントからのリクエストに対して、国内先行事例や”なぜ今やるのか”、出品事業者側、一般消費者側の、それぞれどのペインゲインに通用しそうなアイデアなのか、まずはこのコンセプト設計から着手しました。
ベンチマークにしたのは、Makuakeなどのクラウドファンディングサイト。出品事業者側、一般消費者側ともに、こうしたサービスを利用している層がアーリーアダプターになりそうだと仮定しました。良いものを作る力はあるが売り方に明るくないという事業者が、多くの知識を必要とせずにトライでき、ユーザーはそこで青田買いする楽しさと、青田買いそのものに対するインセンティブを提供できれば、商品そのものの知名度や広告力、EC上のテクニックを問わずにサイクルが作れるのではないか。
そしてそのインセンティブこそ、リベートという仕組みを応用できるのではないかと考え、サービス立ち上げに向けて、ジャーニーマップやペインゲイン、詳細なUX設計を行っていきました。この仮説にトライしているのが、カドデイのPSFフェーズのMVPになります。
最初のコンセプト、仮説が策定されてから、実際に事業開発を進めていく前に社内のステークホルダーの承認が必要でした。WEBアンケートのみならず、VCへのピッチを重ねて仮説をブラッシュアップ、補助金を活用した資金調達を経て、GOサインが出ました。
コンセプトのブラッシュアップとともに、ネーミングやバリューの言語化は自ずと進んでいきました。
他方、社内の既存のリソースはそれほど使えないという状況の中で、新規事業開発に初めて挑戦するPOとともに、開発から運用フェーズにかけて必要な人員の洗い出しや、財務計画を策定していきました。決まった総予算の中で、いかに効率的に長くこの事業にトライし続けられるか、獲得戦略や広告プランなどととも、人員計画を組み、各分野のフリーランスの調達まで行いました。
事業計画上の撤退ラインを定めるとともに、事業に失敗したとしてもここから何を得るのか。「これを通して成長できた」という漠然とした定性評価ではなく、既存のAmazon運用支援事業とのシナジーを意識した事業計画上のKPIを策定し、プラットフォームとして中長期的に育てていくことと並行して、短期的なスコープにおいては、既存事業のフロント商品としての役割も担わせ、プラットフォームへの出品と支援コンサルの両輪でEC事業者を支援していくプランを企画しました。
プラットフォームとして商品が主役、としながらも、サービスそのものに認知のために多少のカラーを出したいと考え、ブルーのワントーンでややマットなカラーリングの仕上げにしました。
出品事業者のECリテラシーを問わないことを一つのテーマとしているため、写真やテキストに左右されづらい商品ページのUIと、自由度を抑えた項目設計を意識的に行い、全体的にプラットフォームとして求められる検索性と、トンマナに合わせたイラストを活用したページデザインとしました。
ブランドロゴである「カドデイ」の文字は、4文字を通して横一線につながるラインが、右肩上がりになっており、やがて市場で成長していくそれぞれの商品の門出、巣立ち、離陸していくような様子をイメージしています。