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兵庫県の播州織産地にて、織物のサイジングという工程から出る廃材である「経糸(たていと)」をリボンに仕上げ、ラッピング資材として販売する事業とそのブランド「翌ル青(あくるあお)」の立ち上げに際し、ブランドコンセプト、ブランド名、グラフィックデザイン面、shopifyを用いたECサイト構築を担当したほか、当初はそのリボンを用いてギフトラッピングを提供していたクライアントに対し、その課題のヒアリングを通して、資材の販売業への移行を提言し、ビジネス転換のためのコンサルティングを提供しました。

CREDIT

CL /翌ル青
CD / C /丸山大貴
D /森井春佳
翌ル青

CONCEPT ラッピング資材界は飽和している?

ギフトラッピングの資材と言えば、リボンをはじめ、箱、袋、シールなど代表的なものから、ラフィアや麻ひも、クラフト紙、ワックスペーパーやドライフラワーを組み合わせたものなど、多岐に渡ったアイデアでSNSを見ていてもさまざまかわいいものがある。ところが、そういった新しいアイデアはそう頻繁に生まれるものでもなく、どちらかと言うと定番の資材をどう扱うか、どう仕上げるかという点に価値が置かれている。クライアント談をまとめるとそういうことだそうで、つまり使える道具はみんな共通で限られた中で、いかにテクニックを駆使するかというベクトルにあると。

翌ル青の提供する通称「経糸リボン」は、そんな中で新たなラッピング資材と言え、さらにこれが生まれる背景にアップサイクルなどのストーリーがあることから、きっとラッピング好き、コーディネーターなどプロの人たち=玄人に刺さるだろうと、この資材を提供するブランドとしてスタートしました。

翌ル青

REQUEST 経糸リボン自体のかわいさとその可変性の方にこそ価値がある

もともと特に何らかの依頼を受けたわけではなく、弊社の兵庫支社で間借りしてギフトラッピングを受け付けていたクライアントと会話し、実はラッピングの作業自体はたくさん受けると飽きてくることがある、でもこのリボンはとても好きで、織物産地ゆえに生まれる独自性には自信がある、産地では捨てられていたこの廃材をリボンにした自分の最初の思いつきには価値を感じると、壁打ちを通して本人のモチベーションの所在が明確になっていきました。

一方、兵庫の近隣エリアでギフトラッピング自体にそれなりの値段をつけることはなかなか難しく、自分の人件費をなかなか上げられないという課題があったことから、ラッピング業からこの資材を売っていくことの方が向いているのではないかと提言しました。

翌ル青

SOLLUTION EC物販トライに対する不安も実は難しくないこと

クライアント本人も、リボンを売ることを考えたことは過去にあるが、売って欲しいとしばしば相談を受けてもごく近しい人以外は断ってきたとのこと。
その理由として、この「経糸リボン」考案者である自分に帰属するオリジナリティが、不特定多数の人に売ることですり減ってしまう不安や、売るとしたらECサイトだということは分かるが、そのやり方もどのくらいコストがかかるかも分からず、あまり自分ごととして考えてこれなかったこと、どんな単位でいくらで売るべきか相談相手がいなかったこと。

ECサイト構築も補助金を活用しながらshopifyで、売り方の単位や価格設定も作業時間の人件費から逆算して結論が出る。一方でこれを売ること=オリジナリティや価値の切り売りとなるのか、この点についてクライアントと会話を重ね、懸念をときほぐすところから始めました。
この商材と物販事業の「圧倒的な優位性」とは何か。
織物の製造工程において、生地を織る前の糸の段階で染色する「先染め」という製法を用いた産地でしか生まれ得ず、全国でも限られていること。同産地や他産地で同様の廃材を使って模倣品を作られたとしても、廃材の状態からリボンに仕上げるにはそれなりの技術を持った手仕事が必要なこと。同産地内の同様の廃材が出る工程を担ういくつかの工場の中でも、クライアントが契約する企業が随一のリボンにしやすさであり、その企業は他へは廃材提供しないという約束と信頼関係があること。

それだけの十分な優位性を持っていることが分かりました。「経糸リボン」をたとえ模倣されても、模倣する人が出てくるほどの市場になった暁には”元祖”として先行者利益があるし、「このレベルの経糸リボンはうちからしか買えません」というだけのクオリティに自信を持てるなら、むしろ「経糸リボン」自体の価値は、さまざまなコーディネーターのアイデアとともに、さまざまな姿にさまざまなラッピングに応用されていくことで高まり、これまで自分だけでは思いつかなかった仕上がりになり、認知され、業界に受け入れられていくというビジョンの方が有意義で、それはなんら「最初に思いついた人の功績」やそのオリジナリティを脅かすものではないと結論づけ、クライアントもこれを理解しれくれました。

翌ル青

DESIGN 青(あを)=まだ色になりきれない色

そんなまだ見ぬ可能性を持つ「経糸リボン」であり、リボンに生まれ変わったことさえも廃材にとっては未知の可能性だったこと、クライアントが青い車に乗って青が好きだったこと、「青」という色の名のルーツとして、元来はいわゆる”ブルー”よりももっと広い意味を指し、やまと言葉における「あを」とは白以外のすべての色を意味したと言われていたり、「青二才」などの言葉に見られるように、「未熟」≒まだこれから何者かになる状態という意味合いを持つことから、「翌ル青」というブランド名をつけました。
ロゴは達筆なクライアント本人の直筆。快活な人柄がよく現れた字です。

廃材をアップサイクルしたものであるこの商材は、それゆえ意図した色、模様のものを扱えるものではなく、あくまで製造工程の副産物であるため、本人の意思さえもそれほど介在していない偶然性や、どのリボンも数量が限られ、たとえ人気で即売でも再生産は基本的に二度とできないものであるという限定性を、それとなく伝えるコピーワークに努めました。「アップサイクル」「サスティナブル」というキーワードには、ブランドの意図からブレるためそれほど触れていません。
この偶然性と限定性は、インスタ運用の方針にも活かされ、開業から1年後もSNSマーケのみで安定的な収益を上げています。
ローコストなミニマムスタートを重視し、shopifyはノーコードで構築、テクニカルな構築業務のみサポートしたほか、販売のための資材アドバイスと、それに必要なグラフィックデザインのデータを提供しました。

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